<ナポレオン>

N:「余の辞書に不可能という文字はない。」
A:「貴方の時代とは違って、いまでは誤植は殆どないから。」
N:「そういう意味ではなく、不可能という文字は愚か者の辞書にのみ存在するのだ。」
A:「僕の辞書は愚か者が作ったものではないから、不可能って文字はちゃんとあるよ。
   ところで、貴方の辞書には無能という文字はあるの?」
N:「もちろんない。」
A:「なんだ、貴方ほどの人がそんな字も知らないのか。
  まぁ、そんなことを知らなくたって、別に無能って訳じゃないから、気を落とさないで。」
N:「・・・。」
A:「だいたい、この程度の厚みの辞書に全てのコトバを詰め込むこと自体、不可能なんだからさ。」
N:「では、余がその不可能を可能にしよう。」
A:「あんたねぇ、自分が何をいってるのか分かってるの?
   不可能なことが可能なら、不可能なんてコトバは最初から要らないってことだよ。」