<くせに>

ソナタの心音。
 品(緊迫)
 歩論(悲哀)
 打弾(激情)
・もしもピアノが弾けたなら、
 あなたに歓喜を届けよう。
 もしもピアノで遊べたら、
 あなたにこころを伝えよう。
・君が弾くまで音の出ないピアノ。

・A:「君のピアノ、鍵盤の数が多くない?」
 B:「僕の煩悩の数と同じで、108鍵あるんだ。」
 A:「高音部が20鍵多いみたいだけど、音は聞こえないでしょ。」
 B:「僕の演奏を聴くオーディエンスは耳がいいから。」
 A:「どういうこと?」
 B:「ワンちゃんたちだから。」

・A:「この国に初めて来た外国人には、木が鳴いてるのを見て驚いた人がいたらしい。」
 B:「この木はみんみん鳴いてて、隣の木はジージー鳴いて会話していると思ったんだ。」
 A:「その発想はいいんだけど。」
 B:「セミを知らない人がいたことの方が驚きだ。」
 A:「ところで、このセミはどうしてみんみん鳴くのか、君は知ってる?」
 B:「みんみんゼミだから。」
 A:「おしい!」
 B:「?」
 A:「みんみんゼミの成虫のオスだから。」
 B:「どうしてオスが鳴くの?」
 A:「それは僕に訊かれても分からないよ。セミじゃないから。」
 B:「君は、子供の頃には、なかなかったくせに。」