<蜘蛛と蝶と蛾(続きの4)>

・蜘蛛は話を聞き終えると、蝶の翅を抱えたまま言いました。
 「全くなんということだ。」
 蜘蛛は暫く黙ったままでした。そして、蛾の方を向いて、
 「ただ嘆いていても仕方がない。代わりに、お前がこれを身に着けて飛んでみせてくれ。」と頼みました。
 蛾は、「その翅は、私には似合いません。それにもう飛ぶ力は残っていません。」
 弱っている蛾をみて、蜘蛛は、
 「お前は何故、そうまでして約束を守ったのか?」
 と尋ねました。
 蛾は少しずつ訳を話しました。
 蜘蛛はそれを聞いているうちに表情がくもってきました。