・蜘蛛は話を聞き終えると、蝶の翅を抱えたまま言いました。
「全くなんということだ。」
蜘蛛は暫く黙ったままでした。そして、蛾の方を向いて、
「ただ嘆いていても仕方がない。代わりに、お前がこれを身に着けて飛んでみせてくれ。」と頼みました。
蛾は、「その翅は、私には似合いません。それにもう飛ぶ力は残っていません。」
弱っている蛾をみて、蜘蛛は、
「お前は何故、そうまでして約束を守ったのか?」
と尋ねました。
蛾は少しずつ訳を話しました。
蜘蛛はそれを聞いているうちに表情がくもってきました。