<蜘蛛と蝶と蛾(終話)>


・蜘蛛は、蝶の言ったコトバを思い出していました。
 「あなたのように心の広いお方を他には存知上げません。」
 (あの時、自分が蝶を助けなかったら、鳥に襲われることもなかっただろう。しかも、蛾まで助けてやることなどなかったに違いない。)と蜘蛛は思いました。
 そして蜘蛛はまた新しい糸を張りながら、次に美しい翅の蝶が網にかかったら助けようかどうかと、迷っていました。
 その後、あの蜘蛛が巣を作っているのを見かけたものは誰もいません[完]。